フレッシュな柑橘の香りと若々しい木々の香りを併せ持ち、心を落ち着かせる効果があるプチグレンは古代から現代に至るまで、多くの文化と歴史を経て人々に愛されてきました。
プチグレンはビターオレンジの葉や枝から抽出される精油で、その名前はフランス語で「小さな粒」を意味します。元々は早熟の時期のビターオレンジの「実」から抽出されていたことに由来していますが、時代を経るにつれて、「葉と枝」から抽出されるようになりました。
ビターオレンジの木は、10~11世紀頃にヨーロッパに伝わり、その後18世紀頃にスペインのイエズス会の修道士たちによってパラグアイに伝えられました。精油そのものの抽出は17世紀ごろから行われるようになったといわれており、同じ植物の花の部分から得られるネロリ精油よりも安価なことから、ネロリよりも広く用いられています。ただ、ネロリに似た香りを持ちながらも、より手頃な価格で提供されているということもあって、海外では「貧乏人のネロリ(poor man’s Neroli)」とも呼ばれることがあるそうです(*注1)。
ラベンダーにも多く含まれる成分、酢酸リナリルとリナロールが比較的多く、鎮静作用が期待できるため、ストレス対策やリラックス用にも役立ってくれます。精神面への作用として鎮静作用や抗不安作用があると考えられ、心のバランスを整える効果が期待されているほか、安眠サポートにも役立つとされており、睡眠の質を高める手助けが期待されています。
香りはユニセックスな印象で、TPOを問わず使用できるため、ストレスが多いと感じる方は香水感覚で取り入れてみるのも良いでしょう。
(*注1)プチグレンとネロリはどちらもビターオレンジの樹から抽出される精油ですが、プチグレンは枝や葉から、ネロリは花から抽出されるため、香りの印象が異なります。プチグレンはグリーンの爽やかさが印象的で男性も親しみやすい香りですが、ネロリは花の甘さが際立ち、女性的な華やかな香りとされています。
どちらもアロマテラピーなどに利用されますが、用途や好みによって選びかたが変わります。
名前 | プチグレン / プチグレイン (Petitgrain) |
学名 | Citrus aurantium |
科名 | ミカン科 |
抽出部位・方法 | 葉、枝・水蒸気蒸留法 |
ノート | ミドルノート |
香り | ウッディーとフローラルは混ざった、爽やかな香り |
利用法 | アロマテラピーとヨガを賢く使う |
禁忌 | 運転前は避けたほうがよい。光感作性 |
プチグレンはオレンジの葉と若い小枝から採れる精油。高級精油として知られるオレンジの花・ネロリと似た作用を持つ精油で、体全体の抵抗力を高めてくれます。
安眠効果だけでなく、フラストレーションから解放してくれるエステル類やリナロールが多く含まれており、リラックス感をもたらすでしょう。鎮静と高揚のバランスをとる作用もあり、消化器系の不調をやわらげる効果や、身体の流れを良くしてくれるので、リンパ液の流れをスムーズにしたり、肩こり緩和、消化を促進しにもよい精油です。
また余分な脂分や汗を除去してくれる働きがありニキビを抑えるのにも良いとされています。
Kokoro(心)
酢酸リナリルやリナロールは、優れた鎮静作用を持ち、不安や緊張、イライラ、ストレスからくる心の不調を和らげ、心を落ち着かせてリフレッシュする効果があります。これらの成分は中枢神経を抑制し、副交感神経の働きを高めることで、リラックス効果をもたらします。
Karada(体)
消化器系の不調を和らげる効果があります。特に、ストレスが原因で起こる消化器系のトラブルや、身体の免疫力アップに役立つとされています。また、エステル類には鎮痛、鎮静、抗けいれん作用があり、胃痛や生理痛などの緩和や、喘息や気管支炎などのけいれん性の咳を鎮めるのに役立ちます。
OHADA(肌)
皮脂分泌を調整する作用があり、脂性肌を改善する効果が期待できます。この効果は、主に酢酸リナリルとリナロールという成分によるもので、皮脂のバランスを整え、肌を美しく保つ助けとなります。また、α-テルピネオールやβ-ミルセンといった成分には、抗菌作用や収れん作用があるため、皮膚組織の再生力を高めてニキビあとなどの傷跡を早く直す効果もあるとされています。
禁忌
プチグレン精油の使用にはいくつかの禁忌があります。
妊娠中の使用
レモン系のプチグレン精油にはリモネンが含まれており血流増加作用があります。またビターオレンジ系には酢酸リナリルが血流に影響を与える可能性もあるとされています。これらの成分による血流増加や、ホルモンバランスに影響を与える可能性は、流産を促したり胎児に影響を与えるリスクがあるとされています。
敏感肌やアレルギーの方
プチグレン精油にはほとんど光毒性がないとされており比較的安全とされていますが、敏感肌の人やアレルギー体質の人は、皮膚に過敏反応を引き起こす可能性があります。また6歳未満の子供は皮膚が敏感であることから、精油の濃度によっては刺激が強すぎる可能性があります。
事故やトラブルに関して責任を負いかねますので、あくまでも自己責任にてご使用をお願いいたします。持病をお持ちの方、妊娠中の方、お子様に使用する場合や、その他使用に不安のある方は、専門家や専門医に相談することをお勧めいたします。