ラベンダー精油

 Story

ハーブの中でも最も知名度が高く「ハーブの女王」とも冠されるラベンダーは土にしっかりと根を張り紫色の花を咲かせる、地中海西部沿岸が原産のシソ科の植物です。

ラベンダー(Lavender)の語源は、ラテン語の「lavo」(洗う)や「lividus」(青みがかった)という言葉で、その万人にも親しまれる香りにより、古代ギリシア時代には心身を浄化するハーブとして浴槽に入れたとされており、古代ローマ時代にはお洗濯のときや消毒などにも使われていたと言われています。

中世になると、自然療法の母(ハーブ療法の母)と称されたドイツ人の修道女でもあり治療家でもある、ヒルデガルト・フォン・ビンゲンによってヨーロッパ全土に広まり、当時は肺炎をはじめとする伝染性の疾病予防やハエや蚊を寄せ付けない効果から、教会の床に敷かれたり、かがり火として焚かれるこもあったそうです。

現代史においては、フランスの軍医であったジャン・バルネ博士(1920〜1995)が第一次インドシナ戦争の際に負傷兵の消毒や鎮痛・鎮静剤として、またやけどの手当てなどにも使用し、アロマテラピーの発展に大きく貢献したと言われています。
また南フランスのグラース地方では古くから革製の手袋の匂い消しに使用され、現代に渡っての香水の歴史にもなっています。

特徴のまとめ
名前ラベンダー
(Lavender)
学名Lavandula angustifolia
科名シソ科
抽出部位花・葉(水蒸気蒸留法)
ノートミドルノート
香りフローラルなハーブの香り
利用法アロマテラピーとヨガを賢く使う
禁忌低血圧の方は避けたほうがよい精油

 

 エッセンシャルオイルの効果・効能

ラベンダーは、“万能のオイル”と言われ古代ギリシャの時代には心身の浄化、鎮静に使われてきたハーブで、神経の緊張によるストレスを和らげ、気分を鎮めてくれ、筋肉痛や生理痛、頭痛や目の疲れにも効果的と言われ、目のかゆみなどにもその効果が期待される精油です。
虫よけや火傷、殺菌作用もあり幅広く活用できる精油です。高いリラックス効果をもたらせてくれ、高血圧は下げたり心拍数を整える作用もあります。緊張を和らげ安眠を誘います。

Kokoro(心)

{鎮静・抗うつ・リラックス効果}
鎮静作用をもつ成分、酢酸リナリルやリナロールを多く含むため、緊張を和らげたりストレスによる緊張や不安、怒り、焦り、ヒステリーなどを静め、感情のバランスを取ってくれれます。また副交感神経を優位にし自律神経のバランスを整え、抗不安作用があることもわかっていることから、リラックスしたい時などにも良いでしょう。

{安眠効果}
気分を安定させるセロトニンや睡眠ホルモンと呼ばれているメラトニンの分泌を促すことで、リラックスモードの副交感神経を優位にするほか呼吸をスローダウンさせて覚醒時間を短くし、深い眠りに導いてくれます。

Karada(体)

{鎮痛作用}
酢酸リナリルには鎮痛作用、筋肉緩める作用、痙攣を抑える作用などが認められており、肩こりや筋肉痛などに良いとされています。またラベンダーの香りを嗅ぐことで脳の大脳皮質に働き掛けセロトニンを分泌するので、怪我や生理痛、ストレスによる胃痛、関節痛などの痛みの感覚を抑制させる効果も期待できます。

原液を直接肌に使用することは避け、ホホバオイルなどの植物油で希釈してから痛みのある患部に塗布したり、精油を含ませたタオルを当てる湿布法はおすすめです。
(*通経作用があるため妊娠中はご使用をお控えください)

{身体}
酢酸リナリルはセロトニンの分泌を誘発する効果があり、抗重力筋に働きかけるとも言われています。抗重力筋とは重力に対して姿勢を保つ、まぶたや首や背中などの筋肉を引き上げる筋肉のことで、セロトニンが不足している状態だと、背中が丸まったり、どんよりとした表情になってしまいます。

{抗菌・抗ウィルス}
殺菌、高感染に優れており、古くはペスト感染症のために薫蒸して利用されたり、コレラ対策のために病院の壁や消毒に使われてきました。
また免疫を高める作用があることからも、呼吸器系の感染症予防や泌尿器系、生殖器系などの感染症にも効果があると言われています。

Ohada(肌)

ラベンダー精油が戦時中、やけどの治療薬として活用されたのはとても有名で、その優れた抗炎症作用による肌の再生効果は日焼けや肌荒れ、あせもなどの炎症を鎮めるのにも良いとされています。さらにその肌再生効果は古くから美容にも用いられてきており、くすみやシミ、シワのエイジングケアにも有効とされています。さらにラベンダーの持つリラックス効果がストレスによる肌トラブルにも働きかけるので、ニキビやストレスによる肌荒れにもおすすめです。

また抗真菌作用、抗菌作用もあるため切り傷の化膿や虫刺されなどの炎症を防いだり、皮膚炎や乾癬、水虫などの白癬菌などにも効果があるとされています。

KURASHI(くらしを彩る)

抗真菌作用、抗菌作用もあるため浴室などに発生するクロカビ、書庫などに発生するユーロチウムというカビの発生を抑えるのによいとされています。
また虫よけの効果も期待できますので、アロマディフューザーやアロマスプレーを使えばリラックス効果だけでなく、空間を爽やかに保つことも出来ます。

禁忌

神経毒性のあるモノテルペンアルコール類のボルネオールや、ケトン類のカンファーを含むため妊娠中の方のご使用は控えてください。また、血圧降下作用や鎮静作用のあるエステル類、モノテルペンアルコール類を含みますので低血圧の方のご使用にも注意が必要です。
スパイクラベンダー、フレンチラベンダーは刺激が強い精油ですので、特にお子様や敏感肌の方が皮膚に直接塗布するのは避けたほうが良いでしょう。

※アロマテラピーは医療ではありません。天然の香りは心身の健康に良い作用をもたらすと認められていますが、不調改善を保証するものではありません。
事故やトラブルに関して責任を負いかねますので、あくまでも自己責任にてご使用をお願いいたします。持病をお持ちの方、妊娠中の方、お子様に使用する場合や、その他使用に不安のある方は、専門家や専門医に相談することをお勧めいたします。
 ラベンダー精油を使ったおすすめの利用法

バスソルト[入浴剤]

肌への刺激が少ないラベンダーはそのままお湯に垂らして入浴できるのも良いですが、ワンランク上の使い方としてご自身でバスソルトを作ってみるとより効果を発揮します。

(作り方)
硫酸マグネシウムを成分とする「エプソム塩(*1)」を大さじ1杯に対し、ラベンダーオイルを3~5滴を目安にします。
上記の分量を参考にエプソム塩とオイルを入れたら、保管用の瓶に入れよくかき混ぜてください。
精油の劣化を防ぐためにも、あまり長期保存しないためにも作りだめはせず、1週間で使い切れる分量にしておくとよいでしょう。

(*1)エプソム塩に含まれる硫酸マグネシウムは温泉の成分にもあり、高い保温効果があり、疲労回復やデトックス効果に有効と言われています。また日本の温泉独特の匂いは無く、無臭ですので非常に使いやすい塩として、欧米などでは入浴剤として家庭で普及しています。

 アロマとヨガで心身を整える

aroma yoga